鐔・日本刀 鑑賞記

日本刀の鐔や小道具の美しさを再確認

山水図鐔 染谷知信

山水図鐔 染谷知信

 

江戸後期の山水図に個性を見出したのが染谷知信だ。この場合の個性とは、岩肌の様子や木々の描写において、独特の鏨を打ち込むことによって点描のような表情を与えていること。写真をみてもその手法が良くわかる。この鐔は近景に視線が集まるよう多彩な要素を採り入れ、遠くは雲か霞に溶け込んでいるように広がりを持たせているのみで、日月などは描いていない。せいぜい背後の山ぐらいだ。木々には色金を巧みに配して秋の色に染まる様子を彫り描き、我が国の四季のありようを表現している。知信の目論見は、多様な鏨使いからなるこの近景に鑑賞者の視点を集めることに違いない。