鐔・日本刀 鑑賞記

日本刀の鐔や小道具の美しさを再確認

2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

刀 陸奥守忠吉 Tadayoshi-Mutsunokami Katana

刀 陸奥守忠吉 刀 銘 肥前國住陸奥守忠吉 直刃出来ながら激しい沸の様子が窺える、三代陸奥の刀。元来は二尺四寸五分ほどであったものを磨り上げて二尺三寸に仕立て直している。地鉄は小板目鍛えに微細な地沸が付いており、小糠肌の典型。わずかに湾れた直刃…

熊谷敦盛図目貫 後藤廉乗

熊谷敦盛図目貫 後藤廉乗 熊谷敦盛図目貫 無銘 後藤廉乗 後藤宗家十代廉乗の目貫。宗乗作と同じ構図。 敦盛十六歳。敦盛は笛の名手として知られ、熊谷直実も、夜半にその笛の音を耳にして涙している。ところが戦場において手柄を立てねば武士の存在感は無に…

一ノ谷熊谷敦盛図目貫 後藤宗乗 Sojo-Goto Menuki

一ノ谷熊谷敦盛図目貫 後藤宗乗 一ノ谷熊谷敦盛図目貫 無銘 後藤宗乗 一たび京を離れた平家は、瀬戸内を西に逃れたものの何処においても叛旗が翻され、流離った末に屋島に辿り着き、仮の御所を築造した。もちろん平家の水軍が持つ舟戦の力は衰えておらず、京…

宇治川合戦図鐔 後藤栄乗 Eijo-Goto Tsuba

宇治川合戦図鐔 後藤栄乗 宇治川合戦図鐔 無銘 後藤栄乗 後藤宗家六代栄乗の鐔で、高綱と景季の先陣争いの様子と、京を追われて瀬田に向かう義仲に付き添っていた巴御前の奮戦する場面を、表裏に描き分けている。 巴御前は女ながら武術に長じ、馬を巧みに操…

畠山重忠宇治川先陣図縁頭 Fuchigashira

畠山重忠宇治川先陣図縁頭 畠山重忠宇治川先陣図縁頭 無銘 畠山重忠が自らの馬を担いで川を渡っている最中、その郎党の大串次郎が重忠の草摺にしがみついてきた。藻草に足を取られて流されそうになったもので、溺れかけている。そこで忠重は次郎を掴み上げる…

脇差 肥前國陸奥守忠吉 Tadayoshi-Mutsunokami Wakizashi

脇差 陸奥守忠吉 脇差 銘 肥前國陸奥守忠吉 三代陸奥と尊称された、肥前忠吉家正系の三代目忠吉は、二代の近江大掾忠廣の子。祖父が用いた忠吉銘を継ぎ、父の作を越えるべく頑強な印象のある世界観を鮮明にしたが故に人気も高い。地鉄は父に似て小板目肌が詰…

畠山重忠宇治川先陣図縁頭 利壽 清壽 Toshinaga・Kiyotoshi Fuchigashira

畠山重忠宇治川先陣図縁頭 利壽 清壽 畠山重忠宇治川先陣図縁頭 銘 利壽 清壽 江戸中期の奈良派の名人利壽の縁と、これに添えて製作された江戸時代後期の東龍斎清壽の頭。この頭が利壽の縁に添えて製作された経緯が、頭の裏に金象嵌で記されている。 宇治川…

宇治川先陣図鐔 Tsuba

宇治川先陣図鐔 宇治川先陣図鐔 無銘 浜野派 分かりやすい図柄構成である。赤銅地を高彫にし、金銀素銅の色絵を施し、この場面、この瞬間を見事に再現している。宇治川の雪解け水の様子も巧み。迫力ある名場面の活写は、浜野派の得意とするところ。詳細は不…

宇治川先陣図小柄 後藤光理 Mitsumasa-Goto Kozuka

宇治川先陣図小柄 後藤光理 宇治川先陣図小柄 銘 後藤光理(花押) この先陣争いには因縁があった。両者が操る跨る馬はいずれも頼朝の愛馬であったが、高綱のイケヅキは荒馬で、頼朝さえも手に余しているほどであった。最初にこれに目を付けたのが景季であった…

宇治川先陣図目貫 後藤程乗 Teijo-Goto Menuki

宇治川先陣図目貫 後藤程乗 宇治川先陣図目貫 無銘 後藤程乗 弓を口にして馬の腹帯を直す景季、その脇を走り行く高綱。宇治川渡河を競う早駆けは、この二人によって為された。だがこのとき、高綱が先に走り出した景季に対して馬の腹帯が弛んでいることを指摘…

脇差 近江大掾藤原忠廣 Tadahiro Wakizashi

脇差 近江大掾藤原忠廣 脇差 銘 近江大掾藤原忠廣 一時代上がった慶長頃を想わせる、寸を控えて反りを深くし、重ねがっしりと造り込んだ脇差。寛文を経て延宝から元禄にかけての作と推測される。刀身の中ほどを過ぎるほどに大振りの剣を彫刻しており、何らか…

宇治川先陣図鐔 後藤 Goto Tsuba

宇治川先陣図鐔 後藤 宇治川先陣図鐔 無銘 後藤 この宇治川合戦では、幾つかの物語が生まれている。最も有名なのが佐々木高綱と梶原景季の先陣争いであろう。先陣とは、その言葉通り、真っ先に敵陣目指して突き進む危険と隣合せの行動。統制がとれないことか…

宇治川の義経図縁頭 浜野 Hamano Huchigashira

宇治川の義経図縁頭 浜野 宇治川の義経図縁頭 無銘 浜野派 寿永三年一月、木曽義仲追討の命を受けた範頼軍は勢田に陣を張り、義経の軍勢は宇治川を前に陣を張った。義仲軍は、宇治橋の橋板を剥がし、川中には逆茂木を配して戦を有利に運ぼうとする。宇治橋は…

忠度和歌図目貫 Menuki

忠度和歌図目貫 忠度和歌図目貫 無銘 頼朝が東国で武力を結集している頃、木曽義仲は北信濃、越後、越中、加賀と攻め進んで京を見下ろす比叡山に布陣。その勢いに圧された平家は幼い安徳天皇を奉って都を離れた。寿永二年七月のことである。 装剣具において…

黄瀬川対面図鐔 Tsuba

黄瀬川対面図鐔 黄瀬川対面図鐔 無銘 治承四年十月、東国の武士を団結させた頼朝は甲斐の源氏勢をも合流させ、西からの平家軍を迎え撃つに適した地、伊豆半島の付け根に位置する黄瀬川に陣を敷いた。その西、富士川に軍を進め、平家勢とは川を挟んで対峙した…

石橋山図鐔 Tsuba

石橋山図鐔 石橋山図鐔 無銘 赤銅魚子地高彫金銀素銅色絵の手法で表現した鐔。赤銅の色合いは夜の様子を表現するに好適。 頼朝に迫った追手である梶原景時は、このとき平家に与していた武将であったが、後に頼朝の下で、武家の政治のため、その機構を確立し…

石橋山図鐔 藻柄子入道宗典 Soten Tsuba

石橋山図鐔 藻柄子入道宗典 石橋山図鐔 銘 藻柄子入道宗典製 石橋山に挙兵した頼朝勢であったが援軍はない。平家勢の大庭軍の手を逃れるべく闇夜の伊豆山中を経、真鶴辺りに出て房総へと海路を求める手はずを整えたが、追手の松明はいたるところに揺れており…

頼朝挙兵図鐔 藻柄子入道宗典 Soten Tsuba

頼朝挙兵図鐔 藻柄子入道宗典 頼朝挙兵図鐔 銘 藻柄子入道宗典製 頼政の挙兵が失敗に終えた知らせが伊豆に伝えられると、頼朝は挙兵の決断を下した。平家の先鋒が東国へ向かって動き始めているという事実もあった。頼朝は、三島神社の大祭の夜。伊豆の目代山…

橋合戦図鐔 Tsuba

橋合戦図鐔 橋合戦図鐔 無銘 赤銅魚子地高彫に金銀の色絵。この場面は、先に紹介したように、小柄を縦図にし、浄明の頭に手をついて飛び越す一来法師を描いた例が多い。縦に長い小柄を巧みに利用した構成である。この鐔では、平家軍の知盛であろうか、馬上の…

刀 近江大掾藤原忠廣 Tadahiro Katana

刀 近江大掾藤原忠廣 刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣 わずかに湾れを交えた直刃出来の刀。小板目鍛えの地鉄は良く詰んで地沸が付くという掟通りで、これに顕著な地景が現われ、網目状に肌が起って見え、その強みも大きな鑑賞の要素となっている。浅く湾れた…

橋合戦図小柄 Kozuka

橋合戦図小柄 橋合戦図小柄 無銘 京に通じる交通の要所であった宇治は、それ故に合戦の舞台となる。以仁王と頼政、これを討つ平知盛軍の対決、宇治橋を境にした戦いが橋合戦。橋板を外して知盛軍を足止めしているあいだに援軍を待つという計画であったが、そ…

刀 近江大掾藤原忠廣 Tadahiro Katana

刀 近江大掾藤原忠廣 刀 銘 肥前國住近江大掾藤原忠廣 なんて綺麗な直刃であろうか。近江大掾の作品を見るたびに感じること。大坂新刀とともに、姿と地鉄の美しさを競い合っている肥前新刀を代表する工である。この刀では、樋を掻いて姿を引き締めており、も…

以仁王図小柄 Kozuka

以仁王図小柄 以仁王図小柄 無銘 後白河法皇の子であった以仁王が自らの処遇に不満を抱き、源氏など各地の反平家勢力に令旨を発して挙兵を促した。治承四年のこと。 これに呼応した源行家などは東国へと行き来するも、その後、準備不足のまま計画が露見。以…

熊坂長範図小柄 夏雄 Natsuo Kozuka

熊坂長範図小柄 夏雄 熊坂長範図小柄 銘 夏雄(花押) 能楽『熊坂』でも有名な熊坂長範 (くまさかちょうはん) 図であるが、この物語も知る人は少ない。 牛若丸が京を離れて奥州へ向かう最中、赤坂の辺りで盗賊熊坂長範が襲ったのだが、逆に殺されてしまったと…

橋弁慶図小柄 Kozuka

橋弁慶図小柄 橋弁慶図小柄 無銘 橋弁慶の題の通り、この図は牛若丸よりも弁慶が主人公。出生地として語られることの多いのが、紀伊国。母は三年ものあいだ胎内に子を宿し、その間毎日のように鉄を食らい、誕生したときにはすでに髪は肩まで伸び、歯も生え揃…

橋弁慶図目貫 Menuki

橋弁慶図目貫 橋弁慶図目貫 無銘 牛若丸が、京五条の橋を渡りかかった時、その行く手を遮るように現われたのは弁慶であった。牛若丸、後の義経と弁慶の出会いの場面である。 実はこのとき牛若は、五条の橋に怪僧が出現し、帯びている太刀や薙刀を奪い去ると…

牛若丸図鐔 正光

牛若丸図鐔 正光 牛若丸図鐔 銘 正光(花押) この場面について、恐らく誰もが知っているであろうと筆者は思ったが、そうでもなさそうである。 源義経が、まだ牛若丸と名乗っていた子供の頃のこと。源義朝の子である牛若丸は、義朝が平治乱において敗北したこ…

頼政鵺退治図鐔 龍鳳軒良宣

頼政鵺退治図鐔 龍鳳軒良宣 頼政鵺退治図鐔 銘 龍鳳軒良宣(花押) 鐔の作者は浜野派の龍鳳軒良宣。赤銅地を高彫にし、金銀朧銀素銅のそれぞれの色金を的確に配して現実感を高めている。鵺とは、顔が猿、身体は狸、尾は蛇、手足は虎の怪獣。その様子が巧みに描…

頼政鵺退治図目貫 Menuki

頼政鵺退治図目貫 頼政鵺退治図目貫 無銘 源平合戦の登場人物では、脇役になってしまっているが、平家の世から源氏の世への大きく動き始める切っ掛けを成したのが源頼政である。 内裏の警護を行っていた攝津源氏、頼政は、それ故に和歌に長じ、平家とも近し…

脇差 近江大掾藤原忠廣 Tadahiro Wakizashi

脇差 近江大掾藤原忠廣 脇差 銘 近江大掾藤原忠廣 近江大掾忠廣の、逆がかった足が長く入る互の目出来の脇差。忠廣の互の目は、焼きの高さはほぼ揃い、足が長く入り、時に互の目が二つずつ連れて目玉のような葉が互の目の中に焼かれることがある。この脇差で…