鐔・日本刀 鑑賞記

日本刀の鐔や小道具の美しさを再確認

2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

波龍図鐔 秋田住正阿弥 Akita‐Shoami Tsuba

波龍図鐔 秋田住正阿弥 波龍図鐔 銘秋田住正阿弥 赤銅地高彫で流れるような波を掻き分けて姿を現した龍神を高彫金色絵の手法で彫り描いている。この構成になる波龍図は、実は長州鐔工にもみられる。もちろん他の金工にもあるのだが、この鐔では銘を見なけれ…

波龍図鐔 静壽翁政知 Masatomo Tsuba

波龍図鐔 静壽翁政知 波龍図鐔 銘静壽翁政知 長州鐔工には龍の図が頗る多い。これまで、正確で精巧な植物図や山水図鐔を紹介したことがあるも、龍の図も得意としていたようであり、意匠も様々。この鐔は、耳際に龍を這わせて平地部分に地透の手法で荒波を彫…

波千鳥図大小鐔 福田政茂 Masashige Tsuba

波千鳥図大小鐔 福田政茂 波千鳥図大小鐔 銘福田政茂(花押) 福田政茂は江戸後期の江戸金工。作品を多くは見ないが、この波も面白い。波頭が渦巻いている。騒がしいほどの波であり、今にも千鳥が呑み込まれそうな感じ。おそらく龍神の存在を暗示しているので…

寿老人図鐔 寶壽斎政景 Masakage Tsuba

寿老人図鐔 寶壽斎政景 寿老人図鐔 銘寶壽斎政景(花押) 月を背後に地上を見下ろす寿老人。長寿を保ち、人それぞれの寿命を書きつけた巻物を手にしている図が多いも、ここでは宝珠を抱えている。波はゆったりと寄せて渦巻くように白波を立てている。月の明か…

浜千鳥に錨図鐔 壽明 Toshiaki Tsuba

浜千鳥に錨図鐔 壽明 浜千鳥に錨図鐔 銘壽明(花押) 壽明もまた東龍斎清壽門下の名手である。干上がった浜辺に現れた錨、飛び交う千鳥。陽が傾いている穏やかな景色に取材した作品である。裏は一転して曇った空に荒海。激しく打ち付ける波、白波立って崩れ落…

千鳥図鐔 一次 Kazutsugu Tsuba

千鳥図鐔 高橋一次 千鳥図鐔 銘高一次造之 これも東龍斎風の作品だ。二重式の耳に構成して額縁効果を求めた特色ある表現。鉄地高彫象嵌。夕日を背に飛翔する千鳥、磯馴松の伸びやかな様子、ひたひたと砂浜を撫でるような穏やかな波。砂浜は真鍮地に貝殻を彫…

波千鳥図鐔 龍青 Toshinori Tsuba

波千鳥図鐔 龍青(壽矩) 波千鳥図鐔 銘龍青(花押) なんて素敵なんだろう、東龍斎派の作品。的確な構図と彫口。鉄地に高彫金の象嵌のみ。雲も、千鳥も、夕日も、もちろん波も他流派とは異なっている。大きくうねるような波を中程に配し、手前には寄せ返す波…

波千鳥図鐔 後藤清乗 Seijo Tsuba

波千鳥図鐔 後藤清乗 波千鳥図鐔 銘後藤清乗(花押) 江戸後期の後藤清乗の作。清乗家は後藤家の流れを汲むも、典型的後藤風とは離れた作品を専らとしている。この絵画風の鐔も色紙に描かれた墨絵を見ているようで、空気のありようも夕日も地の槌目を活かして…

潮汲図鐔 信住 Nobusumi Tsuba

潮汲図鐔 信住 潮汲図鐔 銘應需信住作 三日月が沈みかかる頃、浜辺に置かれた潮汲みの桶。砂浜を撫でるような波、沖の波も穏やかに、チチチと鳴く千鳥の声が風にのって伝わりくる。暗闇が迫って既に人気なく静寂に包まれている海辺の様子を印象深く彫り描い…

江ノ島図縁頭 壽霍斎政春 Masaharu Fuchigashira

江ノ島図縁頭 壽霍斎政春 江ノ島図縁頭 銘壽霍斎政春 この政春は石黒派の工。朧銀を石目地高彫に仕立て、赤銅に色を違えた金の色絵を加えて変化のある色調に仕上げている。江ノ島が主題であり、頭の千鳥は添景だが、このように並べてみると、海岸から江ノ島…

鳥尽図鐔 直義 Naoyoshi Tsuba

鳥尽図鐔 直義 鳥尽図鐔 銘直義 表に雌雄の鴛鴦を、裏に波千鳥を描いている。表が銀次で裏が鉄地。いずれも高彫の昼夜の表現。写実的な描写で、添景である岩や芦も丁寧に彫り描いている。鴛鴦の色使いも色の種類が少ない中で巧みに再現している。千鳥ももち…

波千鳥図鐔 赤文 Sekibun Tsuba

波千鳥図鐔 赤文 波千鳥図鐔 銘赤文 波は具体的には描かれていないのだが、確かに波が見える。波に反射した陽の光を意図したものであろう、三つの小丸を透かしており、櫃穴と連続させて動きのある背景に仕立てているのだ。赤文は安親に私淑した一人だが、こ…

千鳥図鐔 秀興 Hideoki Tsuba

千鳥図鐔 川原林秀興 千鳥図鐔 銘川秀興 安親の作風を手本として製作した、大月派の川原林秀興の鐔。千鳥は奈良派の安親を想わせるし、先の政随を参考にしてもいいだろう。ここでの波は岸辺を流れるそれであり、簡潔な表現ながら、月、雲、芦の葉とのバラン…

波千鳥図鐔 政随 Masayuki Tsuba

波千鳥図鐔 政随 波千鳥図鐔 銘政随行年六十七 奈良三作というと、利壽、安親、乗意の三名人を指す。これに次代の政随を加えて奈良四天王と評価している。政随は前三工に比較して浜野派という人気の高い巨大な流派を構築して江戸金工の幅の広さを世に知らし…

浜千鳥図鐔 奈良利治 Toshiharu Tsuba

浜千鳥図鐔 奈良利治 浜千鳥図鐔 銘奈良利治作 先に紹介した安親の先達という位置付けにあるのがこの利治。同じ鉄地高彫金銀象嵌の手法で、風合いは似ている。描いているのは松原に千鳥、ここでは樹の間にわずかに見える程度に大海原の波を描いている。これ…

波千鳥図縁頭 安親 Yasuchika Fuchigashira

波千鳥図縁頭 安親 波千鳥図縁頭 銘 江戸住安親 これも安親の波千鳥。真鍮地高彫色絵の渋い作。

浜千鳥図鐔 東雨 Yasuchika Tsuba

浜千鳥図鐔 安親 浜千鳥図鐔 銘東雨 波に太陽という取り合わせから思い浮かぶのが千鳥。我が国の海辺における自然観の代表ともいうべき風景であろう。この鐔の作者は、江戸金工の画題や作域において大変な幅の広さを示した、言わば金工の祖の一人、土屋安親…

初日の出図鐔 青龍堂秀明 Hideaki Tsuba

初日の出図鐔 青龍堂秀明 初日の出図鐔 銘因州住駿河卓置 雲間に太陽。海の中から眺めているかのような巧みな構成。雲の流れる様子は穏やかだが、波は高く激しい。正月らしい、爽やかさと強さが感じられる作となっている。 初日の出図鐔 銘青龍堂秀明 青龍堂…

初日の出図縁頭 貞中 Sdanaka Fuchigashira

初日の出図縁頭 貞中 初日の出図縁頭 銘貞中(花押) 貞中は一宮長常の門人。江戸代中期の市井風俗など、人物図を得意とした。その正確で精密な彫刻技術を活かして描いた、初日の出を背後にする舞鶴。波は激しく押し合って動きがあり、鶴もまた元気がいい。お…

日月図頭鐺 Kasira

日月図頭鐺 日月図頭鐺 金と銀で陰陽に表現した波。そこには太陽と月が意図されている。造形が縦長ではあるも、丸みを持っていること、特に横からの眺めでは半円に見えることから、日月を暗に示していることは明白。金と銀の違いは別にして、微妙に彫り方を…

波図ハバキ 文僊篤興 Tokuoki Habaki

波図ハバキ 文僊篤興 波図ハバキ 銘文僊篤興 大月派を代表する一人篠山篤興。篤興に写実的表現になる鐔が多く遺されているのは、実際の風景に取材したからであろう、正確で精巧な作品が多い。だがこの波は荒れ狂う海上から眺めたもの。この波にも大月派の特…

日月図ハバキ Habaki

日月図ハバキ 日月図ハバキ 大小揃いのハバキで、日月を対比させた意匠。銀地透彫りで太陽を表しているが、ここでも心象風景。海の中に太陽や月があっては変だとは思わない。政随の波間に三日月の図があったが、このハバキにおける波と日月の構成も巧みであ…

日月図目貫 Menuki

日月図目貫 日月図目貫 なんて面白いのだろうか、波間に太陽の昇る様子を心象表現した作。波の下に太陽が見えるわけがないのだから、この表現は素敵だ。雲間に月の図と対比させており、もちろん陰陽の意識がある。円形に意匠された波図目貫と比較しても、こ…

波文図目貫 秀国 Hidekuni Menuki

波文図目貫 秀国 波文図目貫 銘秀国 濤瀾乱刃を想わせる、大きく揺れてよせくる波と、その崩れ落ちる波頭を、巧みに切り取った作。ここまで波を切り取る感性、簡略化する意識は江戸時代中頃にはまだなかったのではなかろうか、洒落ている。このような表現は…