2013-01-01から1年間の記事一覧
松樹に軍馬図小柄 後藤 松樹に軍馬図小柄 後藤 赤銅魚子地を高彫に仕立て、金銀の色絵を施して華やかな場面に仕上げた小柄。江戸時代前期の後藤の作。松に竹は冬にでも緑の衰えることがないことから長寿のシンボル。これに、繋がれた馬は今にも綱を切って駆…
源平屋島合戦図小柄 光壽 源平屋島合戦図小柄 銘 光壽(花押) 後藤宗家十二代光壽の在銘作。右の一団は舟上の平家。左は義経の率いる源氏。瀬戸内の海軍を支配して舟戦に長けた平家と、軍馬を操るを得意とした源氏の、まさに対比の意味を備えている図柄でもあ…
牟礼高松図小柄 後藤 牟礼高松図小柄 後藤 松樹の下で海を見つめる武士。屋島を攻撃した義経である。松樹、馬上の武者、海という三つの要素のみを描いた象徴的な図柄であるが、この三つだけで意味が分かってしまうのが我が国の絵画の面白さでもある。留守模…
羅城門の鬼図三所物 程乗 羅城門の鬼図三所物 銘程乗作光孝(花押) 以前にも紹介したことがある、『平家物語』に見られる武家の台頭を暗示する羅城門の鬼退治伝説。頼光一門の渡辺綱が羅城門に金札を立てようとしているところを鬼に襲われた場面。綱の兜をつ…
軍馬図小柄 後藤程乗 軍馬図小柄 銘 法橋程乗(花押) 後藤宗家九代程乗の貴重な自身銘が刻されている作。放牧されている馬に馬具を身に着けている馬。その軍馬の野に放たれて疾駆する様が静と動の対比で描かれている。赤銅地に高彫、金銀の色絵に加え、朧銀色…
樋定規に馬図小柄 後藤 樋定規に馬図小柄 後藤 直線はいかにも武士好みの意匠である。図柄の一直線は他に何もないというわけではない。猪突猛進ではないが、まっすぐに前を見つめる意識を大切にしていたのであろう。樋定規図とは言うものの、樋定規そのもの…
宇治川先陣図鐔 後藤栄乗 宇治川先陣図鐔 後藤栄乗 同じ後藤栄乗と極められた、同じ宇治川先陣に題を得た鐔。宇治川で木曽義仲軍を攻めた際に、宇治川渡河先陣を競った高綱と景季の間には、実はそれ以前にも争いがあったという。高綱の生唼も、景季の磨墨も…
宇治川合戦図鐔 後藤栄乗 宇治川合戦図鐔 後藤栄乗 後藤宗家六代栄乗の作と極められた、桃山時代の特質が窺える鐔。大振りで人物も大振り。金銀を多用して華やかである点もこの時代の特徴。表は佐々木高綱と梶原景季による先陣争いを描いた図。裏面は同じ合…
瓢箪から駒図小柄 後藤栄乗 瓢箪から駒図小柄 栄乗作光孝(花押) 後藤宗家六代栄乗の作であることを、同十三代光孝によって極められた作。高彫金銀色絵に銀の平象嵌。「瓢箪から駒」と題したが、紙の馬を持ち歩き、その紙の馬に瓢箪に入れられた特殊な薬をか…
牛馬図目貫 後藤光乗 牛馬図目貫 後藤光乗 これも後藤宗家四代光乗の作。牛を赤銅で、馬を金無垢で彫り出し、両者を芋継の手法で合着させた特殊な造り込み。色絵に比較して金の冴えが抜きん出ており、赤銅も深みのある黒で、贅沢な表現である。馬は流れるよ…
黄石公と張良図小柄 後藤光乗 黄石公と張良図小柄 後藤光乗 過去に紹介したが、何度も紹介したい作品である。人物も馬も小振りな印象だが、小さいながらも引き締まった高彫とされているところに後藤宗家四代光乗の特徴と 優れた技術がある。黄石公と張良の出…
二疋馬図笄 後藤祐乗 二疋馬図笄 後藤祐乗 後藤宗家初代祐乗の作であることを、同十二代光理が極めた笄。高彫に金色絵と平象嵌を加えている。平象嵌の一部が抜け落ちており、その処理の方法など、技術的情報が窺いとれる作でもある。金の斑文のある馬は大地…
直実に敦盛図目貫 後藤宗乗 直実に敦盛図目貫 後藤宗乗 後藤宗家二代宗乗の、『平家物語』の名場面に取材した作。この時代の馬は、現代の馬に比較してかなり小形であった。マンガや歴史雑誌などで紹介されている平家物語など、イラストによる軍馬の様子とは…
波に馬図鐔 波に馬図鐔 波兎と同じ意味があるのであろう、波間を走り抜ける馬の様子を象徴的に表現している。襲い来るような波こそ敵軍であろう、その間隙を突いて攻撃する。こうして鑑賞すると、隠されているであろう意味への想いも広がり、図柄としても面…
波兎図小柄 波兎図小柄 波文を背景に二羽の兎。銀の波に金の兎が映える構成。兎の表現が如何にも古風。阿吽の相にて駆けながらも向い合う姿は後藤の構成。波は確かに古金工のそれで、文様としてあり、兎が存在する意味を暗に示しているようでもある。
波兎図鐔 遊洛斎赤文 波兎図鐔 銘遊洛斎赤文 波に兎は、波車と同様に剣術の背後にある真理を表現していると言われている。素早い動きを波と兎に擬えているのであろうか。鉄地に高彫、ごくわずかの金布目象嵌で両者を描いている。波飛沫が大きく宙に舞い、浜…
蛸壷図縁頭 政随 蛸壷図縁頭 銘乙柳軒政随 頭を波打ち際の蛸壺に見立て、その割れ目から胴体と手足をみせている蛸の姿を主題に、縁には波打つ様子を描き添えている。何とも滑稽味のある作品だが、意匠構成も彫刻も、なにより発想が素晴らしい。とにかく面白…
鯨漁図小柄 鯨漁図小柄 このような、身体の一部のみを描くことによって全体像を想像させるという表現が流行ったのであろうか、前回紹介した作よりさらに大胆な構成になる作。裏面はやはり波文である。身体に打ち付ける波を小柄の縁に小さく描いて鯨の巨大さ…
鯨漁図小柄 吉岡因幡介照次 鯨漁図小柄 銘吉岡因幡介照次 波間に目元をわずかに表わした鯨。身体の一部だけを描くことによって鯨の巨大さ様子を表現している。波も象徴的であり、大海原を表現しているわけではない。沖合にしては少々波間が狭いように感じら…
波題目図小柄 波題目図小柄 波に関わる我が国の伝説からもう一つ。文永八年、日蓮上人が幕府批判の理由で佐渡流刑となった。季節は秋、嵐の最中の渡海である。襲い来る大波に舟は今にも飲み込まれんばかりに揺れる。日蓮は数珠を片手に激しく打ち付ける大波…
稲村ケ崎図縁頭 正直 稲村ケ崎図縁頭 正直 波に関わる伝説と言えば我が国の南北朝時代。鎌倉を攻めた新田義貞が思い浮かぶ。守りの堅い鎌倉突入ができずに考えた末、稲村ケ崎の海岸を、波の引いた最中に渡るという奇策をあみだした。その際、太刀を海に投じ…
猩々留守模様図鐔 越前住記内 猩々留守模様図鐔 銘越前住記内作 波に関わる図を紹介している。この鐔に描かれているのは、壺に波のかかる様子で、即ち、猩々の留守模様である。古代中国の伝説が元にある。目出度い時に謡われる謡曲にも採られている。壺は酒…
波龍図鐔 崎陽山人若芝 波龍図鐔 銘崎陽山人若芝 若芝の龍神図。擦り付け象嵌とも呼ばれる独特の風合いの布目象嵌により、雲や霞などのぼかしを巧みに画中に採り入れた作風に特徴がみられる若芝。山水図を得意としたが、ここでは龍神を描いている。雲は金布…
波龍図小柄 波龍図小柄 造り込みが常に比して大振りな大小柄。桃山時代の影響が強く示された作で迫力がある。龍は竜巻を図像化したものと考えて良いだろう。海上に発生する竜巻は、まさに龍神が天に昇るように見える。近年多発している竜巻だが、古代にも当…
波龍図鐔 秋田住正阿弥 波龍図鐔 銘秋田住正阿弥 赤銅地高彫で流れるような波を掻き分けて姿を現した龍神を高彫金色絵の手法で彫り描いている。この構成になる波龍図は、実は長州鐔工にもみられる。もちろん他の金工にもあるのだが、この鐔では銘を見なけれ…
波龍図鐔 静壽翁政知 波龍図鐔 銘静壽翁政知 長州鐔工には龍の図が頗る多い。これまで、正確で精巧な植物図や山水図鐔を紹介したことがあるも、龍の図も得意としていたようであり、意匠も様々。この鐔は、耳際に龍を這わせて平地部分に地透の手法で荒波を彫…
波千鳥図大小鐔 福田政茂 波千鳥図大小鐔 銘福田政茂(花押) 福田政茂は江戸後期の江戸金工。作品を多くは見ないが、この波も面白い。波頭が渦巻いている。騒がしいほどの波であり、今にも千鳥が呑み込まれそうな感じ。おそらく龍神の存在を暗示しているので…
寿老人図鐔 寶壽斎政景 寿老人図鐔 銘寶壽斎政景(花押) 月を背後に地上を見下ろす寿老人。長寿を保ち、人それぞれの寿命を書きつけた巻物を手にしている図が多いも、ここでは宝珠を抱えている。波はゆったりと寄せて渦巻くように白波を立てている。月の明か…
浜千鳥に錨図鐔 壽明 浜千鳥に錨図鐔 銘壽明(花押) 壽明もまた東龍斎清壽門下の名手である。干上がった浜辺に現れた錨、飛び交う千鳥。陽が傾いている穏やかな景色に取材した作品である。裏は一転して曇った空に荒海。激しく打ち付ける波、白波立って崩れ落…
千鳥図鐔 高橋一次 千鳥図鐔 銘高一次造之 これも東龍斎風の作品だ。二重式の耳に構成して額縁効果を求めた特色ある表現。鉄地高彫象嵌。夕日を背に飛翔する千鳥、磯馴松の伸びやかな様子、ひたひたと砂浜を撫でるような穏やかな波。砂浜は真鍮地に貝殻を彫…