鐔・日本刀 鑑賞記

日本刀の鐔や小道具の美しさを再確認

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

張果老図小柄 一宮長常

張果老図小柄 一宮長常 張果老図小柄 一宮長常 大胆な線と極細密の線による描写、これに鮮やかな平象嵌を加えた一宮長常の技法の完成が芸術面での高揚を見せると共に、この軽やかな作風が町人文化を刺激して新たな世界を展開していることを示している作品。 …

親子鶏図目貫 一宮長常

親子鶏図目貫 一宮長常 一宮長常作親子鶏図目貫。この目貫も敦賀市立博物館で開催中の《一宮長常展》にて展示されている。 迫力あるこの表情をご覧いただきたい。片切彫鏨や毛彫鏨で刻され切り込まれた身体が滲み出しているのは、まさに生命。殊に目玉が活き…

親子虎図目貫 一宮長常

親子虎図目貫 一宮長常 敦賀市立博物館で開催されている《一宮長常展》のポスターにも使用されている親子虎図目貫。金無垢地を肉高く打ち出し、丸みのある身体を実体的に表わし、鏨を強く切り込んで顔、手足、体毛やその縞模様を表現している。 長常(ながつ…

車胤(蛍の光)図小柄 一宮長常

車胤図小柄 一宮長常 車胤図小柄 一宮長常 蛍の光や窓の雪明かりを頼りに勉学したという古代中国の賢人車胤を題に得た作品。朧銀を磨地とし、得意の片切彫と金銀赤銅の平象嵌で絵画調に仕上げている。黒木売翁図のような動きは抑えた図柄構成だが、片切彫の…

黒木売翁図小柄 一宮長常

黒木売翁図小柄 一宮長常 福井県敦賀市の敦賀市立博物館において《一宮長常展》が開催されている(2009年10月16日~11月29日)。 長常(1721~1786)は敦賀の出身で、活躍したのは江戸時代中期の京都。円山応挙の門人石田幽丁に絵画を学び、写生を基礎とする動き…

桐透図鐔八題

桐透図鐔八題 桐を意匠したその他の鐔を並べてみた。左上から右へ順に、西垣、西垣、赤坂、神吉、神吉、神吉、肥後、神吉の各極めになる。写真はモノクロしかないので透かしの意匠を楽しんでほしい。

桐樹透図鐔 中井友幸

桐樹透図鐔 長州萩住友幸 中井友幸 桐樹を題に得た鐔は肥後の意匠を基礎としたものだけではない。写真は長州萩の鐔工、中井善兵衛友幸(ともゆき)の、長州鐔工らしい正確で精密な彫刻表現がなされた構成美溢れる作。長州鐔工は江戸の伊藤派に学び、殊に正確で…

窓桐透図鐔 土佐明珍

窓桐透図鐔 土佐明珍 窓桐透図鐔 土佐明珍 赤坂と同様に肥後の美観を手本とした鐔工がある。甲冑工(かっちゅうこう:兜などの職人)の流れを汲む土佐明珍(とさみょうちん)派で、鉄の熟しに優れ、専ら西垣の作風を写し、勘四郎に紛れる作品もある。写真はその…

投桐透図鐔 赤坂忠重

投桐透図鐔 赤坂忠重 投桐透図鐔 無銘 赤坂忠重 江戸中期の赤坂派を代表する巧手忠重(ただしげ)の、肥後西垣勘四郎を彷彿とさせる投桐透図鐔。鉄地は鍛え強く槌目が鮮明に残されて色合い黒く光沢渋く、指先にもねっとりとした感が伝わりくる。勘四郎の特徴は…

投桐透図鐔 赤坂

赤坂派の投桐透図鐔 肥後鐔のデザインを採り入れた鐔工として良く知られているのが赤坂(あかさか)派である。赤坂派とは、江戸時代初期の寛永頃に京都から江戸の赤坂に移住した初代忠正(ただまさ)、二代忠正、三代正虎(まさとら)の、所謂古赤坂に始まり、四代…

桐透図鐔 神吉

神吉極めの鐔 窓に桐透図鐔 神吉 鉄地をわずかにゆがみのある泥障形に仕立て、毛彫と銀布目象嵌を施した、西垣を想わせる鐔。茶室の窓からの眺めを意匠したもので、銀象嵌は光琳窓など質素な設えを感じさせる。投桐と共にこの窓桐も江戸時代に好まれた意匠。…

引両桐透図鐔 深信

古い時代の唐草文の多くは、布目象嵌などによる面の描写、あるいは象嵌の幅を細くし得ないが故に幅のある線模様で構成されていた。ところが肥後の二重唐草文は、糸のような細線による縁取りの構成であり、しかも二重の線とされたため、ここから古典的な唐草…

桐透図鐔 西垣

桐花を藤のように長く巴状に意匠した、優れた構成美の鐔。無銘ながら西垣派の高位の工の作と鑑られる。色合い黒々とした鍛え強い地鉄は光沢が強くねっとりとし、表面が平滑に仕上げられてはいるものの鎚の痕跡がかすかに窺える。興味深いのは切羽台に構成し…

投透図鐔 西垣

引両に桐透図 中央辺りを厚く耳際を薄くした碁石形をほぼ真丸形に造り込み、幅の狭く角度の急な斜に引両を、上下に花桐を微妙な均衡で配した、構成美の優れた鐔。耳の内側や各部の線を花房状に華やかな凹凸の連続とし、左右の櫃穴を大きくとっているところも…

投桐透図鐔 西垣勘平

茶席の装いの如くに桐樹を捉えた鐔で、初代勘四郎にも二代にもない西垣勘平(にしがきかんぺい)独創の意匠。勘平は初代の子で、二代勘四郎は兄。色合い黒々とした鉄地を、ごくわずかに耳際を薄くした碁石形(ごいしなり)に造り込み、表面を微細な石目地に仕上…

投桐透図鐔 西垣勘四郎

投桐透図鐔 西垣勘四郎 投桐(なげきり)あるいは踊桐(おどりぎり)と呼ばれる意匠がある。枝桐を投げ置いたような、不安定な、微妙な均衡が魅力の、専ら透かし鐔に採られたデザインの一つで、肥後金工林又七(はやしまたしち)の創案になるものと考えられている…

花桐九曜紋桜花散図鐔 西垣

埋忠派の作風とは趣が異なるも、同様に真鍮地の渋い色調を作品の要とした肥後金工(ひごきんこう)の作品を紹介する。作者は江戸時代前期の西垣勘四郎(にしがきかんしろう)である。勘四郎が鏨で表わした茶に通じる作品には、侘びや寂びのみならず華があるこ…

山水図鐔 有田源右衛門貞次

長州鐔工には、京都から移住した埋忠(うめただ)派の影響を受けたと思われる作品がある。初期の埋忠派の作品は極めて少なく、筆者も鑑賞したことがない。おそらく、京都の埋忠派の作風に近いのもと推測していたところ、ここに紹介する、まさに光忠などに似た…

九年母図鐔 埋忠明壽

桃山時代の埋忠明壽(うめただみょうじゅ)が、江戸時代に隆盛した諸金工の技術的に、表現においても強い影響を与えた琳派の芸術家の一人であることは言うまでもない。また、室町時代に隆盛した墨絵を金工上で模倣するという表現を試み、見事に独創世界を生み…

桜花文図鐔 光忠(埋忠派)

季節に合わないが、埋忠(うめただ)系統の時代の上がる作例として光忠(みつただ)の鐔を採り上げた。図柄は文様化された桜花で、山銅とも真鍮とも判断し難い古調な地金に鮮やかな金と渋い銀の布目象嵌を簡潔に施した作。同趣の作例が幾つか確認されていること…

虫喰に蔓象嵌図鐔 埋忠

真鍮地とも山銅(やまがね)地とも思われる古色溢れた素材を肉厚く造り込み、繊細な阿弥陀鑢(あみだやすり)を施した上に、金銀のこれも古様式の線象嵌を加え、虫喰いの様子をも意匠に採り込んだ大胆な作。 明壽に代表される桃山時代の埋忠(うめただ)派には、真…

花鳥十二ヶ月揃小柄 堀江興成

九月 尾花に鶉 十一月 枇杷に千鳥 今年の10月18日まで、徳島城博物館(徳島市)において《阿波刀の世界…刀、刀装具の美・刀剣を愉しむ》展が開催されています。蜂須賀家の旧蔵品が主に展示されるようです。時間がありましたらご鑑賞下さい。装剣金工では『花鳥…