2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧
鯱図鍔 間 鯱図鍔 銘 間 鐔上部のクロスは屋根を表現しているのであろう。その上に備え置かれた鯱が主題。鉄の肌合いも鍛え強く黒々として光沢強く魅力的。時とともに鉄が腐蝕してゆく。その変化を、肌合いと錆に感じとる。古い時代の鉄鐔が好まれるのは、そ…
刀 忠光 刀 銘 備州長舩忠光 文明十八年二月日 板目に杢目を交えた備前地鉄の優質を鮮明にする作。良く詰んで地沸が付き、これを分けるように地景が入る。刃文は腰の開いた互の目で、焼頭に抑揚変化があり、一部は逆がかり、また一部は丸みをおびて地に突き…
芙蓉図鍔 間 芙蓉図鍔 銘 間 真夏の炎天下で鮮やかな花を咲かせる芙蓉も、砂張ではこのような印象になる。鉄の錆色に沈んだ鉛色の花。その所々が虫喰いのように窪んでいる。 桃山頃に現代では琳派と呼ばれる文様化された空間表現が盛んに行われるようになっ…
大工道具図鍔 間 大工道具図鍔 銘 間 表に斧、裏に角尺と墨壷、大工道具を画いた、砂張の魅了横溢の作。斧と角尺は面による描写で、墨壷は細く太くと線を組み合わせたもの。砂張の表面が複雑に、微妙に、自然異凹凸しているのが見どころ。 平象嵌による線描…
糸巻図鍔 間 糸巻図鍔 銘 間(砂張) 砂張(さはり)と呼ばれる象嵌技法を用いた鐔は、技法が特殊であるため、そのほとんどが文様表現である。 砂張鐔を紹介する。鐔の中にあって特異な存在感を示すことから、興味深い作品世界である。鉄地と灰色の金属のみから…
風神雷神図鍔 友周 風神雷神図鍔 銘 長州萩住河治権允友周作 この鍔も古典的な題材を、鏨深く切り込んで立体的で動感のある画面を創出した作。鉄地肉彫に金の布目象嵌。作風は高彫で写実味もあるが、琳派の巨匠として知られる俵屋宗達にもあるような文様化さ…
布袋和尚図鍔 友周 布袋和尚図鍔 銘 長門萩住河治権允友周作 長州鐔工の文様表現は、正阿弥派の作風を下地としていることは、幾つかの作品の鑑賞で理解できると思う。河治友周(ともちか)は江戸時代前期における長州鐔工界の重鎮で、本作のように古典的な題材…
鉄線透図鍔 宣治 鉄線透図鍔 銘 長州萩住岡田宣治 岡田宣治(のぶはる)は銘鑑に出ていない金工の一人。岡田家は長州鐔工界の名流であり、多くの門人を抱えてていたことであろう、そのような一人と考えて良い。正阿弥流の肉彫地透に金布目象嵌を施した手法は先…
地紙散図鍔 之信 地紙散図鐔 長州住赤名之信作 何て素敵な構成であろうか、過去に扇散や破扇などの図を紹介したことがあるも、これに通じて雅な風情がある。単に地紙を公正しているだけでなく、背景にある扇の骨が折れているのも妙。長州萩は古くから京都の…
唐草に桐紋透図鐔 友恒 唐草に桐紋透図鐔 銘 長州萩住中井善助友恒作 中井友恒の作中では極上手の鐔。同趣の鐔に、肥後の平田派にもあり、いずれも正阿弥派の魅力を独自の指向で再現したもの。鉄地が撫八角形に造り込み、金の布目象嵌のみにて唐草文を全面に…
唐草文図鐔 友恒 唐草文図鐔 銘 長門萩住中井善助友恒作 これも正阿弥風の香りを漂わせ、しかも彫口に強弱変化を付けて唐草の延びに動きを与え、さらに洗練味のある空間を完成させている。金の布目象嵌が所々落ちているのが惜しまれるが、本質は頗る優れてい…
脇差 則光 脇差 銘 備州長舩則光文明十八年 備前物の脇差のスタイルが定まりつつあるように感じられる、安定感のある姿格好。身幅尋常に先幅落ちず、下半に反りが深く付いている。地鉄は杢目交じりに板目肌で、良く詰んで地景が現われ躍動感がある。全面に地…
翁透図鐔 友恒 翁透図鐔 銘 長門國萩住中井善助友恒作 能楽の原点でもある翁。その演じられている場面を文様化した作品。中井善助友恒(ともつね)は江戸前期から中期にかけて活躍した名工。江戸時代後期に繁栄した長州鐔工としては比較的初期の工であり、作風…
鉤文透図鍔 埋忠 鉤文透図鍔 銘 長州萩住埋忠作 桃山時代に京都に栄え、後の金工文化の基礎を成したのが明壽に始まる埋忠派。その流れは江戸や播磨、肥前にも及んでいるが、長州にも影響を及ぼしていることを証明する作例である。図柄や造り込みなど作風はま…
波龍図鍔 政知 波龍図鍔 銘 長陽群龍亭静壽翁政知行年七拾貮歳己酉初夏彫之 老いてもなお鏨使いに衰えをみせぬ名工岡田政知(まさとも)の、実は没した年の作品。政知は嘉永二年に天寿を全うしている。鐔の耳際を帯状に縁取りし、内側には荒波を肉彫地透の手法…
脇差 則光 脇差 銘 備州長舩左衛門尉則光寛正四年 寛正則光(かんしょうのりみつ)と尊称される名工則光の、鋒が菖蒲の葉のように造り込まれた、鋭利な姿格好の脇差。このスタイルは室町時代中頃に間々みられる。 杢目交じりの板目肌は緊密に詰んで微細な地沸…
雲龍図鍔 光高 雲龍図鍔 銘 長州萩住光高作 これも同様に雲間に龍神図。鉄地を彫り下げ深く、鏨を効かせた肉彫で殊に顔や手足の爪、鱗など各部を鮮烈に浮かび上がらせており、宙に突き出している鱗に覆われた細い脚部が印象的である。目玉のみ金象嵌。光高(…
太刀 経家(長舩) 太刀 銘 経家 南北朝末期から応永初期の、備前国長舩の名工経家(つねいえ)の太刀。磨り上げられて茎の下端部に銘が残されているが、寸法は二尺二寸六分。応永杢と呼ばれるこの頃の備前物にみられる優質なる地鉄で、杢目交じりの板目鍛えに地…
雲龍図鍔 茂常 雲龍図鍔 銘 長陽萩茂常造 雲間に潜む龍神を実体的に彫り出し、円形の鐔を巧みに構成した、長州鐔工の得意とした龍図。これも上質の赤銅一色で、彫口鋭く鱗が立ち、爪が宙を掻き、雲をつかんでいる様子が鮮明。雲間の透かしが龍神を浮かび上が…
飛龍図鍔 幸利 飛龍図鐔 銘 長州萩幸利 飛龍あるいは翼龍と呼ばれる霊獣を題にえた、迫力ある鐔。激しく起つ波と水面に向かう飛龍を巧みに構成し、鍔という円形空間を構成している。優れた図柄である。赤銅地一色、抑揚変化のある彫刻に細密彫刻を加えただけ…
霊獣図鐔 ト忠 霊獣図鐔 銘 長州住ト忠作 霊獣の代表格である鳳凰と麒麟を巧みな肉彫で立体的に表現した作。ト忠(ぼくちゅう)なる工については不詳。作風から江戸時代後期と推測され、古典的な題材を量感豊かに彫り出しているところなど、知名度は低いにもか…
脇差 家助(長舩) 脇差 銘 備州長舩家助應永廿六年二月日 この脇差も、磨り上げで短くなっているので、元来は一尺七寸五分ほどの扱い易い寸法の刀。後の脇差という感覚とは異なる武器であった。 やはり応永備前の優質が示された作で、地鉄の柔らか味と躍動感…
桐に鳳凰図鐔 豊章 桐に鳳凰図鐔 銘 長州豊章 江戸時代後期安政頃の岡本家の名人豊章(とよあき)の作。殊に桐の表現を友直の作風と比較して鑑賞されたい。ふっくらと量感のある写実的表現になる葉の様子には、植物図を得意とした長州鐔工の特質が窺いとれる。…
桐に鳳凰図鐔 友直 桐に鳳凰図鐔 銘 長州萩住河治六郎右衛門友直作 古典的な題材を題に採り、透かしを巧みに洗練味のある空間を創出した作。友直(ともなお)は江戸時代前期から中期にかけての河治家の工で分家した名人。これも植物図を題に得ているのだが、後…
桜花図鐔 政富 桜花図鐔 銘 長州萩住政富作 これも桜図の装剣小道具において紹介したことのある鐔。耳際に帯状に縁を設け、ここに唐草文を廻らし、一段低く鋤き下げた地に桜の花を文様化して散し配している。桜花はきりっと立った彫口で、鉄地一色ながら鮮や…
秋草図鐔 友道 秋草図鐔 銘 長陽萩住友道作 以前に紹介したことのある、菊花を中心として秋草を生け花風に構成した大胆な趣のある鐔。水辺の岩は揺るぎない存在感を暗示しており、これに生命感豊かな植物を組み合わせている。絵画としても好まれた図であり、…
牡丹図鐔 清高 牡丹図鐔 銘 萩住井上清高作 狩野美信(花押) 幕府お抱え絵師である狩野美信(よしのぶ)の下絵を鐔に活かした井上清高(きよたか)の鐔で、両者の銘が刻まれている。量感のある鋤彫で枝牡丹を密に構成し、小透を施して立体感と密集した状態を表現…
脇差 盛重 脇差 銘 備州長舩盛重應永二十九年八月日 一尺五寸強の小振りな脇差で、この時代においては太刀の副え差しとされたものであろう、元来は平造が多い腰刀から次第に鎬造へと変化してゆく過程にあった武器と考えられる。杢目交じりの板目肌が柔らか味…
牡丹図鐔 友範 牡丹図鐔 銘 長州友範 前回紹介した牡丹図鐔と同様に鐔全面を花に見立てた作。肉彫の手法はより写実的で、花弁が描く曲線には艶麗な趣がある。微妙に凹凸のある表面の様子は実際の花のようにやわらか味が感じられ、蕊は金の点象嵌で印象的。裏…
牡丹図鐔 久平 牡丹図鐔 銘 長州萩住久平作 鐔の外周を大きく開いた牡丹の花形に造り込み、その華麗な風合いを鐔全面で表現した作。長州鐔工が江戸の伊藤派に学んだ作風の一つがこれで、植物のありようを、絵画的に、時に正確精巧な彫法で科学的な標本の如く…