鐔・日本刀 鑑賞記

日本刀の鐔や小道具の美しさを再確認

2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

南天図鍔 秋田正阿弥 Akita-Shoami Tsuba

南天図鍔 秋田正阿弥 南天図鍔 秋田正阿弥 何て素敵な鍔であろうか、赤銅魚子地高彫色絵象嵌による美しい作。南天は、我が国の晩秋を彩る季節感に溢れた植物であり、景色を構成する要素である。この鍔における実の表現、技法に目を奪われる。丸みのある実は…

近江八景図鐔 安親 Yasuchika Tsuba

近江八景図鐔 安親 近江八景図鐔 武州住奈良安親作 まだ、それほど名を成してもいなかった土屋安親が、出羽より江戸に上って技術を高め、自ら得た様々な技術を総動員して作品化したものであろう。技術的に簡単に説明すると、赤銅石目地、高彫、金銀素銅色絵…

瓜図鐔 秋田正阿弥 Akita-Shoami

瓜図鐔 秋田正阿弥 瓜図鐔 秋田正阿弥 唐草状に構成した瓜。江戸時代中頃の秋田正阿弥派の作。蔓と実を赤味の強い金で、葉を青味のある金で表し、微妙な質感と装飾性を高めている。下地は鉄地。これに素銅地の蔓と実を象嵌し、包むように金の板を被せている…

賢人図鐔 竹内宗承 Sojo Tsuba

賢人図鐔 竹内宗承 賢人図鐔 山城住竹内宗承製 宗典の一門であろう、銘を宗典にしたら宗典で通る典型的作風。鉄地高彫に二種類の金、銀、素銅の象嵌。象嵌は、高彫の表面を覆うように処方されている。この種の工法では剥がれ落ち易いはずだが、丁寧な仕事を…

雲龍図鐔 藻柄子宗典 Soten Tsuba

雲龍図鐔 藻柄子宗典 雲龍図鐔 藻柄子入道宗典 同じ宗典の鉄地肉彫に金象嵌の手法。宗典というと、このような技法が専らである。図柄は合戦図や中国の偉人や仙人などを題に得て、立体的な視野で作品化しているものが多い。龍の図も間々見かける。鉄地を肉感…

十二支図鐔 藻柄子宗典 Soten Tsuba

十二支図鐔 藻柄子入道宗典 十二支図鐔 藻柄子入道宗典 象嵌というと鉄地に施すものという認識が強い。以前紹介した金家は、鉄地に同じ鉄地の高彫された像を嵌入するという奇抜な手法を試みた。作品の総体が、結果として鉄地高彫表現になるのであれば、何も…

五三桐紋図鍔 Tsuba

五三桐紋図鍔 五三桐紋図鍔 象嵌とは、彫り込んだ下地に別彫りの塑像を嵌め込むことによって高彫や平面的な装飾を施す技術全般のこと。平象嵌は地面と象嵌の面を同じ高さに仕上げること。それゆえに色絵とは区別が難しい。布目象嵌は密に切り施した鑢目に金…

吹寄せ図鐔 肥後 Higo Tsuba

吹寄せ図鐔 肥後 吹寄せ図鐔 肥後 具象的な図柄ではなく、文様風でもないことから、画題をどのようにしたものか迷った末、落ち葉の風に寄せられた図とした。そんな雰囲気である。肥後の香りが漂っており、甚吾の流れ、あるいはそれを遡る工であろうか。さて…

雪月花図鐔 壽矩 Toshinori Tsuba

雪月花図鐔 壽矩 雪月花図鐔 壽矩 幾つかの点で興味深い技術を利用している作例である。東龍斎派は、独特の画面構成と地造りで知られ、幕末に大流行して多くの金工が活躍している。この抑揚のある地造りがまず第一点。第二として、実は錆地漆が施されている…

一路平安図鐔 後藤清明 Kiyoaki Tsuba

一路平安図鐔 後藤清明 一路平安図鐔 後藤清明 これも政随の太陽を手本とした作。朧銀地を高彫にし、太陽を金布目象嵌、裏の月を銀布目象嵌で陰陽に表している。朧銀地は鉄地に比較してとても柔らかいため、技術として難しいと思う。ここでは、政随が採った…

夕日図鍔 友直 Tomonao Tsuba

夕日図鍔 友直 夕日図鍔 友直 政随の洗練美とは趣を異にして、これも面白い。図柄の大胆さと荒々しさが、この太陽の表現を可能にしているのであろう。粒が鮮明な金を、しかも微妙に色の違う金粒を布目象嵌しているのだ。巴に見えるのは切羽台に柄が位置する…

波千鳥図鍔 政随 Masayuki Tsuba

波千鳥図鍔 政随 波千鳥図鍔 政随 雲に隠れ行く太陽や、満ち欠けのある月なども、グラデーションを利用して描かれることが多い。この鍔では老松の背後に沈みゆく太陽を描いている。細かに刻んだ鑢目に、叢に金布目象嵌を施すことによって朧な太陽、霞んでい…

蝶図鐔 熊谷義明 Yoshiaki Tsuba

蝶図鐔 熊谷義明 蝶図鐔 熊谷義明 先に紹介した正阿弥政徳などの蝶とは、同じ布目象嵌の表現ながらずいぶん雰囲気が違っている。拡大写真でようやく判るように、布目象嵌が若芝のそれと同様に極めて細い線を濃密に施すことによって、面として表している。さ…

山水図鍔 若芝 Jakushi Tsuba

山水図鍔 若芝 山水図鍔 崎陽山人若芝 若芝の得意とした作風、そして画題である。長崎に居住したことにより、海外の影響をうまく受けた金工と言えるであろう。先に南蛮鐔を紹介したが、金工への影響は南蛮風と、このような独創の展開へと二手に進展している…

雲龍図鍔 若芝 Jakushi Tsuba

雲龍図鍔 若芝 雲龍図鍔 崎陽山人若芝 鉄地を鋤き下げ、腐らかしで鍛え肌を明瞭にし、これを荒波に見立てて龍神を表現した作。ここでも布目象嵌の特質が活かされている。背景にあるもやっとした印象の雲が要点である。石目地に仕上げて金の擦り付け象嵌を施…

破れ扇図鍔 正阿弥金十郎 Kinjuro Tsuba

破れ扇図鍔 正阿弥金十郎 破れ扇図鍔 正阿弥金十郎 正阿弥派の真髄とでもいおうか、巧みな金銀布目象嵌により、優れた文様美を展開した作。背景は波。ここに投じられた扇が、水によって次第にほつれて破れてゆく様子が表現されている。布目象嵌の特質が効果…

枯木に瓢透図鐔 古正阿弥 Ko-Shoami Tsuba

枯木に瓢透図鐔 古正阿弥 枯木に瓢透図鐔 古正阿弥 耳に枯れ枝を想わせる金の枯木象嵌を施し、秋の瓢箪棚にとり残された幾つかの実を陽に表現している。いいデザインである。具体的な物を心象表現しており、特に金の象嵌が活きている。古正阿弥と極められて…