鐔・日本刀 鑑賞記

日本刀の鐔や小道具の美しさを再確認

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

田植え図鐔 松下亭元廣 Motohiro Tsuba

田植え図鐔 松下亭元廣 田植え図鐔 松下亭元廣 苗代、代掻きから田植えまでの、春の農村の様子を写し取った作。米作りそのものが大自然とかかわりのある我が国の文化でもあるのだが、自然の賛美よりも人間味のある景色として捉えたもの。牛を操る代掻き、ス…

代掻き図鐔 一春 Kazuharu Tsuba

代掻き図鐔 一春 代掻き図鐔 一春 同じ牛が主題であっても、これは明らかに農村の風景。いかにものんびりとしているようだが、彼らにしてみたら、冷害、旱魃、襲い来る自然の脅威に真っ向から対決してゆかねばならない。そんなに楽なものではないぞ、と大き…

牧童図鐔 政春 Masaharu Tsuba

牧童図鐔 政春 牧童図鐔 政春 先の牛引き図を十牛図の一つ、禅を得ようと悪戦苦闘する姿を描いたものとするのであれば、これも禅の習得、すなわち禅を学び得た状態を描いたもの。ところがこの図は、禅の問題にかかわらず好まれたのであろうか間々見かける。…

牛引き図鐔 安親 Yasuchika Tsuba

牛引き図鐔 安親 牛引き図鐔 安親 農村に取材した作。牛を引く農夫などはごく普通に見られた光景。装剣小道具では、禅の教え、その習得の程度を牛引きに擬えて十段階に違えて描いた十牛図と解く。先に紹介した樵夫図とおなじだ。この鐔では、十牛図のひとつ…

木賊刈図鐔 安親  Yasuchika Tsuba

木賊刈図鐔 安親 木賊刈図鐔 安親 謡曲木賊刈に題を得た作品。この図は、安親が好んで描いており、複数の作がある。木賊刈の老父を主題に大きく採った作もあるが、ここでは山水の構成を借り、雲間に出てきた月を眺め、かどわかされた我が子を思う様子を鄙び…

樵夫図鐔 勝随 Katsuyuki Tsuba

樵夫図鐔 勝随 樵夫図鐔 勝随 瀧の落ちる山奥で薪を束ねる樵夫。山水図を借りて山仕事を描いたもの。裏面は急峻な沢の流れ。まさに山水図の美しい構成。普通だとここに李白が立って瀧を眺めている場面とされる。背後の瀧や遠く連なる山々など、この樵夫はも…

砧打ち図小柄 浜野壽随 Toshiyuki Kozuka

砧打ち図小柄 浜野壽随 砧打ち図小柄 浜野壽随 業平や西行が和歌の名勝なる地を訪ねる旅にでたように、風光明媚な土地は好んで和歌に取られたようだが、それらに比較すると農村の様子が詩歌に詠まれた例は少ないだろう。砧打ちは農村の鄙びた風景の一つでも…

富岳西行図鐔 直次 Tsugunao Tsuba

富岳西行図鐔 直次 富岳西行図鐔 直次 富岳何景になったろうか、金工だから絵画ほどではないと思っていたが、表現手法は多彩だ。この鐔は、聳え立つ富岳を主題に、松原から眺める旅人を添え描いた作。旅人は歌人西行ではないかと思わせる鄙びた構成。彫口は…

東下り図鐔 額川保則 Yasunori Tsuba

東下り図鐔 額川保則 東下り図鐔 額川保則 古典的図柄を得意とした水戸金工、その額川保則の作。和歌の旅に出た業平が主題。ようやく富岳が面前に聳える地まで来たのか、その感動に震えているのか、業平の表情はかたい。その一方で従者はもう旅に飽きたのか……

東下り図鐔 後藤光孝 Mitsutaka Tsuba

東下り図鐔 後藤光孝 東下り図鐔 後藤光孝 後藤宗家十三代光孝の、片切彫を駆使した手法として珍しい作。東下りは好まれた画題であり、間々見かける。ここでは主人公である業平が描かれていない。留守模様であろうか、あるいは大小そろいの鐔の、一方に描か…

木花咲耶姫図縁頭 皆山應起 Masaoki Fuchigashira

木花咲耶姫図縁頭 皆山應起 木花咲耶姫図縁頭 皆山應起 大月派の金工。木花咲耶姫は、富岳を御神体とする浅間神社に、富士山の噴火を鎮めるために祀られている。神話世界を美しく彫り描いた作で、図柄としてはとても珍しい。

富岳鷹図縁頭 水野正隆 Masataka Fuchigashira

富岳鷹図縁頭 水野正隆 富岳鷹図縁頭 水野正隆 茄は描かれていないが、題は明らか。すっきりとした図柄であり、貫禄のある猛禽図は、武家の好むところ。

一富士二鷹三茄図大小鐔 義照 Yoshiteru Tsuba

一富士二鷹三茄図大小鐔 佐藤義照 一富士二鷹三茄図大小鐔 佐藤義照極めの大小鐔。構成のしっかりとした図柄。写実的であり、雄大であり、すがすがしさが感じられる。「一富士二鷹三茄」の謂いは、「富士越龍」と共に出典が良く判らない。でも普通に、富岳と…

富岳桜図大小鍔 安壽 Yasutoshi Tsuba

富岳桜図大小鍔 安壽 富岳桜図鍔 安壽 安壽は仙台金工。大小鐔だが、大は桜に月、小が富岳。風景を連続させたものであろう、雰囲気がよく合っている。富岳のすそ野の構成線が桜の枝とほぼ同じのは偶然ではなかろう。成功で正確な彫刻。各図柄がきりっと立っ…

松原富岳図鍔 一拳 Ikken Tsuba

松原富岳図鍔 一拳 松原富岳図鍔 一拳 一拳は後藤一乗一門。この鐔では手前に松原を描き、その背後に迫りくる富岳を描いている。表面だけでは描き切れないとみて、裏面に連続させている。現実には写真でしか表裏を並べて繋げることができないのだが、面白い…

三保松原に富岳図小柄笄 篤行 Tokuyuki Hutatokoro

三保松原に富岳図小柄笄 篤行 三保松原に富岳図小柄笄 篤行 篤行は大月派の金工。これぞ三保の松原といった風情。小柄と笄にそれぞれを描き分け、並べることによって作品を完成させる。富岳の雄大な姿はもちろんだが、海原に無限に続いているかのような松原…

松原富岳図小柄 良次 Yoshitsugu Kozuka

松原富岳図小柄 良次 松原富岳図小柄 良次 良次は東龍斎派の金工。額縁効果を持たせた鐔が、東龍斎派の特徴の一つなのだが、この小柄においても額縁のような構成を試みて成功している。季節は冬であろうか、松の枝には雪が積もっているように感じられる。す…

松原富岳図小柄 明龍 Akitatsu Kozuka

松原富岳図小柄 明龍 松原富岳図小柄 明龍 三保の松原から眺める富岳図は古典的景観。たなびく雲に端雲、松原を象徴的に添え描いている。実際の景色としては、決してこのように見えるわけがないのだが、松原と富岳の組み合わせで自然と脳の奥の方で理解して…

松原富岳図鍔 吉村一啓 Ikkei Tsuba

松原富岳図鍔 吉村一啓 松原富岳図鍔 吉村一啓 一啓は後藤一乗の門人。同じ門の一琴同様に、甲鋤彫を得意としたようだ。薄肉彫に甲鋤彫という、立体的な高彫表現ではないにもかかわらず、富岳は迫りくるし、近景の松原も海風にざわついているように感じられ…

富士越龍図鍔 常真 Tsunezane Tsuba

富士越龍図鍔 常真 富士越龍図鍔 常真 すごいとしか言いようのない、迫力のある画面が魅力。しかも彫刻が精密。波を巻き上げた龍神が雲間を抜け、富岳に挑んでいる。雄大な富岳は龍神が自らを越えて天上へと駆け上がってゆく様子も待ち望んでいるかのようだ…

富士越龍図小柄 後藤光美 Mitsuyoshi Kozuka

富士越龍図小柄 後藤光美 富士越龍図小柄 後藤光美 後藤宗家十五代光美の力強い作品。龍神図は後藤家の伝統。雲や波も後藤家の作品には間々見られる。これらに富岳を組み合わせるとこうなる。美しくも力強い画面である。こうして眺めると、先に紹介した光理…

富岳図小柄 後藤光理 Mitsumasa Kozuka

富岳図小柄 後藤光理 富岳図小柄 後藤光理 後藤宗家十二代光理は元禄ころが活躍期。古典的後藤の作風から離れ、このような個性的な作品も遺している。富岳の前にたなびく雲。美しいというより力強さが魅力。決して険しい山容ではないのだが霊山といった表情…

富岳図小柄 平田 Hirata Kozuka

富岳図小柄 平田 富岳図小柄 平田 雲間の富岳。これも簡潔でいい。富岳は七宝、雲は金線象嵌。遠見の富岳の山肌は爽やか。もう眺めているだけで幸せな気分になれる。富士山が持つ自然美がそれなんだろう。

富岳図小柄 平田(七宝) Hirata Kozuka

富岳図小柄 平田 富岳図小柄 平田 七宝技術に加え、金や素銅などの金属を配して秋の色付いた木々の様子などを表現したもの。特に鮮やかな金線を巧みに配しているところが平田派の特徴。後に金線七宝と呼ばれるような、文様七宝の作風が定着してゆく。