2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧
水車図鐔 才市 水車図鐔 才市 才市は、最上大業物作者に数えられている刀工虎徹と出を同じくする長曽祢派の金工。この鐔は、甲冑師の出というだけあって鉄が持つ風合いも味わい深く、何より陰に意匠された透かしがいい。水の流れと車の組み合わせは、淀の水…
海辺図鐔 埋忠宗賢 海辺図鐔 埋忠宗賢 埋忠重義同様に、風景の文様表現で江戸時代における、金工の祖でもある埋忠明壽の技術を受け継いだ金工の一人。この鐔では様々な風景の要素を盛り込み、昼夜の海辺の景色を心象表現している。雪輪を櫃穴に意匠している…
桜樹図鐔 正充 桜樹図鐔 正充 こちらは写実的描写とされた主題の桜。一方背景は鍛え肌を焼手腐らかしの手法で強調したもので、水の流れを想わせる。桜と川の流れの組み合わせは京都の西を流れる桂川と嵐山が元となる花筏などの図柄が有名。この鐔は、嵐山を…
龍田川図鐔 青木将之 龍田川図鐔 青木将之作 埋忠鍛之 川の流れに散りかかる紅葉。装剣小道具だけでなく様々な器物や着物にみられるこの図は、「ちはやぶる神世も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは」の和歌が文様表現された心象風景。先の桜楓と同様…
桜楓図鐔 埋忠重義 桜楓図鐔 埋忠重義 重義は風景の文様表現など琳派の美意識に通じる世界を鐔の上に展開した明壽の門流。師風に倣って巧みな文様風の風景を彫り描いて人気が高い。殊に鉄地を巧みとし、抑揚のある肌合いに金銀の布目象嵌を施している。この…
山水図鐔 若芝 山水図鐔 若芝 肥前長崎の鐔工。独特の穏やかな高彫によって山水風景を彫り出し、個々に細い線象嵌、布目象嵌、擦り付け象嵌などの手法で金による彩色を施す手法を得意とした。本作が典型。繊細な絵画を見るようである。もちろん極細の線だけ…
稲穂に鼠図鐔 貞之 稲穂に鼠図鐔 貞之 貞行もまた独特の地鉄造りも追求した、加賀の鐔工。鍛え強い鉄地を高彫にし、焼手腐らかしで蝦蟇肌とも呼ばれる自然な凹凸の生じた肌合いを作品の要とした。この鐔に関しては細部まで加刻されていることから蝦蟇肌とは…
猛虎図鐔 宗政 猛虎図鐔 宗政 この鐔工もまた、鉄地に意を注いだとみられ、緻密に詰んでしかも強靭な風合いを漂わせる、独特の鉄味の作品を見る。そして彫口が深く鋭く、精密である。装剣小道具には、水飲み虎と呼ばれる図柄が好まれて描かれることがある。…
龍虎図鐔 遊洛斎赤文 龍虎図鐔 遊洛斎赤文 龍がいないではないかと言われるが、巻き上がる雲を描いて龍の存在を暗示している。虎の描写に迫力がある一方で、雲はいかにも簡潔。虎の身体、特に足先などは雲の動きと同様に誇張している。虎の背後を振り返って…
獅子図鐔 雪山 獅子図鐔 雪山 雪山は一宮長常の前銘。後に真鍮地や赤銅地に高彫象嵌を施したり平象嵌片切彫などを得意としたが、初期にはこのような迫力のある地造りを特徴とする、覇気ある鐔を製作していた。高彫の妙味はもちろんだが、背景に石目を施して…
亀図鐔 鉄元堂尚房 亀図鐔 鉄元堂尚房 尚房は正楽敏行の養子となって鉄元堂の号を用いた名工の一人。師の技術を受け継ぎ、特に亀の図を得意としたようで、複数の作品を遺している。鉄味がやはり優れている。それが故であろうか背景が景色となり、高彫象嵌さ…
南蛮人図鐔 鉄元堂正楽敏行 南蛮人図鐔 鉄元堂正楽敏行 自ら鉄を熟す技量の高さを示したのであろう、工銘に鉄の文字を用いている。この工は人物描写が優れている。夕立に遭遇した人々の姿を捉えた図はあまりにも有名(下写真)。その一方で、韃靼人であったり…
波龍図鐔 藻柄子入道宗典 波龍図鐔 藻柄子入道宗典 鉄地を縦横に彫り込んで立体的な描写を成功させたのが宗典。地鉄の処理が巧みで、合戦や中国の歴史人物を広い視野からなる構成で捉えた集団図としている作が多い。次の竹林七賢図などがその好例。肉彫に金…
輪違い透図鐔 尾張 輪違い透図鐔 尾張 円を十字に繋いでいるだけの簡潔な図柄だが、要所に切り込みを入れており、造形の奥深さを感じさせる。刀は剣の外装を装飾するという意識は太古の時代からあった。植物図のように装飾に上下があれば、太刀から打刀に変…
霊芝透図鐔 古甲冑師 霊芝透図鐔 古甲冑師 茸の類も万年茸と呼ばれる霊芝も、古くから生命の根源に関わる天然自然の妙薬として捉えられている。この鐔の文様の処理はとても簡潔。地の表情がいい。網目状、或いは密集した花弁状とでもいうべきか、単なる日足…
日足鑢文図鐔 直忠 日足鑢文図鐔 直忠 直忠は直勝の門人。刀匠鐔や甲冑師鐔を想わせる古風な鐔を製作した。この鐔が良い例で、鎚で叩き締めた後に焼手を加えたような微妙な凹凸で全面が覆われ、その合間に放射状の筋が窺える。もう一方の面には文字の浮彫が…
桐唐草図鐔 荘司弥門直勝 桐唐草図鐔 荘司弥門直勝 江戸後期の刀工の中には、古作に倣った鐔を製作している者がある。特に直勝は技術も感性も高く、信家に紛れる鐔を遺している。この鐔などは、銘がなければ信家に紛れよう。地鉄の量感、切羽台厚と耳の厚さ…
鯉魚図鐔 甚吾 鯉魚図鐔 甚吾 前にも紹介したが、甚吾は鯉の図の鐔をいくつか製作している。この鐔では裏に梅の花を描いている。梅の花も甚吾が好んだ題材。鍛えた鎚の痕跡を活かした地面は、焼手によってさらに自然な凹凸が生じ、滝つぼを強く印象付けてい…
太刀透図鐔 林 太刀透図鐔 林 林派の流祖又七は鉄砲鍛冶の出。鉄を熟す技術は殊に優れている。実用の時代における鉄味の良さとは、相手の攻撃に耐えられる強靭さに突き詰められよう。この鐔は縦が80ミリだが、なんとなく小振りに引き締まっているように感じ…
竹割虎図鐔三題 薩摩 竹割虎図鐔三題 薩摩 猛虎は薩摩金工の得意とした図。鍛えの強い鉄地を頑丈に造り込み、肉彫で耳に竹を、大きさのバランスは無視して猛虎を心象的に彫り描いた作が多い。ここに紹介するのは、いずれも薩摩の作。正阿弥の影響であろうか…
菅原道真留守模様図鐔 正阿弥盛積 菅原道真留守模様図鐔 正阿弥盛積 牛に梅で菅原道真。大胆でひょうげた描写からなる作。正阿弥盛積は伊予正阿弥の鐔工で、鉄地に金銀の布目象嵌を施した華やかな江戸期正阿弥伝の作風を得意としたが、本作はあまり金の布目…
石垣に陣幕図鐔 間 石垣に陣幕図鐔 間 鉄の強さをこれでもかというほどに肉感的に表現した作。見どころは石垣の存在感に他ならないのだが、風に靡いているような陣幕の描写が高彫によるから凄い。鉄色黒々として鉄砲鍛冶の出と伝える間一門の創造的魅力が横…
脇差 信舎 脇差 信舎 江戸時代最初期の脇差を紹介している。この時代の脇差は比較的寸法が短く、その割に身幅が広いがっちりとした造り込みが特徴だ。ところが未だに、「ちょっとみじかいなあ」などと、この寸法を短くて貧弱であると捉えている方が多い。一…
天球儀図鐔 政随 天球儀図鐔 政随 航海などで利用された天球儀が画題。鉄地を地荒らし風に仕上げて背景とし、主題の部分は立体感に富んだ高彫表現。立体感とはいえ、天球儀は球体である。わずか数ミリの高彫で球を表現するのだから凄い。裏面は波高く荒れた…
金剛王図鐔 東雨 金剛王図鐔 東雨 奈良派の知名度をより高めたのが安親、後の東雨である。装剣小道具での金剛は、仏を守る金剛力士のように阿吽の相を示す一対の仁王像の図で知られている。仁王像をそのまま彫刻した作もあるが、安親は、存在感のある文字で…
鷺図鐔 江戸住利治 鷺図鐔 江戸住利治 江戸に栄えた奈良派の金工。風景の文様表現は琳派の背景に備わっている美観のひとつだが、鐔工もこのように巧みに作品に採り入れている。背景を成しているのは鉄味であることは言うまでもない。単に鐔を構成している鉄…
渦巻文散らし図鐔 肥後 渦巻文散らし図鐔 肥後 鍛えた鉄地を焼き入れし、表面を腐らかして自然な肌合いを表したもの。渦巻文がさほど装飾性を追求したものではなく、水玉のように鐔面に散らされているのみだが、地鉄の強みや肌合いの景色が、この渦巻きを魅…